上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

秋に読みたい大人のメルヘン特集ヘ秋に読みたい大人のメルヘン特集 Ⅶ ~
秋に読みたい大人のメルヘン特集ヘ

 SITE NAME : 氷 の 花 束  
 http://www.geocities.co.jp/Bookend-Christie/8265/index.html

 SITE MASTER : 葉 山 郁 様       【葉 山 郁様】のご紹介作品一覧 本館のご紹介作品  

 STORY :
美しい緑の貴婦人。その貴婦人お抱えの楽師が主に長の暇を願い出る。最後の夜、美しい主は楽師に、彼自らの物語を語ることを求める。最初は渋っていた楽師だが、主の求めに、彼が以前仕えていた主人との物語を始める。それは美しく従順ではあるが、心をどこかに置き忘れてきてしまったような娘。娘は、その美しさを聞きつけた王から求愛されるが、好色な王に愛する娘をやるのに忍びない父親はそれを退けてきた。けれども父親は王の命を受けて国を留守にしなければならなくなる。残された娘を王から守れるのは、娘自身の意志と一羽のオウムのみ。高潔な父親の心根に打たれたオウムは必死に娘に物語を語り続ける。父親が帰ってくるまで娘の部屋に誰も入れず、人形のような娘が、ドアの向こうにいる者の言うなりに、その鍵を開けてしまうのを妨げるために…。


 作品のご紹介&感想


秋に読みたい大人のメルヘン特集、ぴったりの作品が中々見つからない…と、声高?にわめいていたはっちでありますが…あっさり、すっかり、ばっさり、さっぱり、前言撤回させていただきます!私ったら、私ったら、こちらの作者さまの作品を見落としておりました!以前から存じ上げていたサイトさまで、本館でファンタジー作品としては一番先にご紹介させていただいたにも関わらず、実は実は、恋愛作品にばかり目がいって、この作者さまが得意となさるパロディ系童話はスルーしておりました!今回、初めてと言ってよいかと思いますが、それらの一連のメルヘン作品を拝読させていただいたのですが、おもしろさに仰天しております!ああっ、自分で自分が許せない!いかにもな童話的な出だしと語り口に、さわりだけ読んで引き返してきた自らの愚が、ひたすら悔やまれてしまいます。でも、この特集のおかげで、そのおもしろさに気づけてよかたったぁぁ~!もう、こちらの作者さまの作品だけで、特集が組めてしまうほどたくさんの、そしてバラエティ豊かな、大人が楽しめるメルヘン作品、そろっておりますです。本編はその中でも最新作です!

王様やお姫様がでてくる物語では、その狂言回しの役を務める語り手は、道化か吟遊詩人、楽師の類と相場が決まっておりますが、本編もまたそのセオリー通り、語り部は、旅の楽師という設定になっております。その軽妙闊達な語り口のテンポのよさとリズムはまるで、古典落語を聞いているかのようです。複数の民話を原典となさったというご説明どおり、本編は、三つの物語がまるで、ロシア人形のマトリョーシカように入れ子になっているのです。単体の物語だけではここまでおもしろくはならなかっただろうと思えば、そのアレンジの妙、設定の巧みさにひたすら脱帽であります。

本編ではオウムが語る物語が、その核となる部分なのですが、ほんとにおもしろいです。ストーリー自体は割りとシンプルなのですが、その語り口がもう絶妙でして、思わず引きこまれてしまいました。オウムが語り続ける間にも、ドアを叩く者がおりまして、娘がそちらへ行こうとするたびに、オウムは口先三寸でなんとか彼女を丸め込んで(失礼!)いかせまいとするのです。そのタイミングがもう、これって千一夜物語のシェラザードもかくやという巧さでありました。

ストーリー展開、登場するキャラたちの設定やその台詞の言い回しもとてもおもしろく、それは本編の大きな魅力ですが、おもしろさだけではありません。物語にはとてもわかりやすく、力強い、人生への讃歌ともいうべきメッセージが込められているように思えます。童話や説話に作者や語り部のメッセージが込められているのはよくあることですが、読み手がそれを素直に肯定し、受け入れることができる物語はそうそうありません。特に読む側の人間の年齢があがってゆけばなお更であります。人生や人の心の翳った部分、悲哀や哀切を綴った言葉には共感しやすく、同調しやすくなっても、(つまりアレです、年のせいで涙腺が脆くなったというヤツです)真っ向勝負の光り輝く言葉は眩しすぎ、面映くも青臭くも感じ、ついつい穿った見方をしたくなるものです。

ヒロインは作中、一片の曇りもない真っ当なその信条、座右の銘?を何度も繰り返すのですが、当初は面映さ以外は感じなかったその言葉が、物語が進み、ヒロインがその信条どおりに道を切り開いていくに従って、次第に説得力と重みを増してゆくのです。ラストでは思わずその言葉に拍手したくなる自分がいたりしました。また、童話ならではの楽しいキャラがたくさん登場する物語ですが、彼らはただ愉快なだけではなく、時に非常に重みと深みのある言葉を繰り出します。人と人生の真実を、人ならぬ者に語らせる―、これまた童話の定石であり、醍醐味でありますが、とても効果的でした。ひねくれた年嵩の読み手である私メが、オウムの鋭さに驚き、くじらの言葉には思わず頷く、そして、ヒロインには拍手したくなる。そんな自分に新鮮な驚きと嬉しさを感じ、元気になれる物語でありました。

★本館で開催中 『秋の夜に読みたい大人のメルヘン特集 』 はこちら から
魔女や魔物、魔法使いが登場する他のご紹介作品はこちら
 葉山郁さまのサイトはこちら

バナー氷の花束
スポンサーサイト


 Entry Top   
INDEX

↑Page Top へPage top


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。