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 SITE MSTER : 汐 崎 雪 野 さま    【汐 崎 雪 野様】のご紹介作品一覧  本館のご紹介作品

 STORY :
「塔よ。我らの姫を守りたまえ」
滅び去った国に、ただ一つ残され、見捨てられた深紅の塔。伝説と哀歌に彩られたその塔を訪れた異国の傭兵ジャルディンは、金色の髪をした一人の少女、エトラと出会う。 滅んだ国と滅ぼした国、二つの王家の血をひくという美しい少女は傭兵に、深紅の塔と鳩、そして滅んだ国の最後の姫の話を物語る。


 作品のご紹介&感想


これまた、すんばらしい物語でございます。初作の短編は、もう、一行一行が、古式ゆかしい散文詩か、叙事詩のような趣がある美しさ。まるで、朗読劇か、吟遊詩人が竪琴を片手に物語っているような雰囲気があるのです。オンライン小説の世界が、いかに広くとも、この作者さまほど美しい文章を紡がれる方はそういないのではないかと存じます。その美しい文章で紡がれた物語は、哀切であり、悲愴であり、その美と残酷が胸を打ちます。ストーリーももちろんですが、作者さまの優れた情景描写は本当にすばらしいとしかいえず、研ぎ澄まされた言葉で語られた、冒頭の塔を廻る攻防のシーンは映像的で、その残酷な美しさに圧倒されました。作者さまの力量は台詞回しにも如実に現われております。 「わが民、わが騎士、わが息子たちが戦って死んだというのに、王たるわしがそれをせずして、何としよう」王のこの台詞に私は、ヤラレました!じわじわと物語の世界へ浸りつつあった私は、この台詞で、完璧に、完全に、この物語の世界へ、ドーンと全身がはいり込んでしまったわけでございます。そして、後はただうっとりと、陶酔するのみでした。

物語はシリーズ化されております。初作の短編に登場する、傭兵と少女があまりにも印象的で魅力的でしたので、この二人の物語をもっと読みたいと切に願っておりましたなら、続編を2編、作者さまは生み出してくださいました。(何たる幸せ!)

シリーズ第二作は、文章の美しさはそのままに、初作とはまったく趣を異とする物語です。少女の帰還によって、王宮で繰り広げられることになるゴシックミステリー。ジャルディンを伴って父の国へもどったエトラは、白い霧がたちこめる庭園で何者かに命を狙われます。彼女は今は亡き前王のただひとりの遺児であり王女。従兄弟である青年王は少女を妃にと強く望み、それを快く思わない王弟は彼女を疎んじます。慟哭と寂寥を友として生きてきた亡き父の正妃であった皇太后と彼女を慰める庶出の王子。王宮には霧のように謎と秘密が立ちこめていますが、傭兵は少女を守るために、霧の下に隠されたそれぞれの真意を探ろうとしてゆくのです。

そしてまた、王宮の人々と会する度に、傭兵もまた、自身の過去と追憶を蘇らせるのですが、その過去と現在の交錯は、第三作にも言えることなのですが、物語を幻想的に彩り、なんともいえないほど印象的で効果的なのです。それは物語の伏線となると同時に、狂言回しの役を務めるこの傭兵もまた深い過去を持つ人物であることを否応なく読者に知らしめます。作者さまの肉厚な人間描写が、もう光りまくっている作品です。登場する一人一人のキャラが、本当に丁寧に深く描かれておりまして、彼らがその心情を吐露するシーンなどは、まるで舞台劇をみているような迫力がありました。静かにしっとりとたちこめる霧のように、作品全体の印象は、静謐で清澄であるからこそ、全ての謎が解かれ、クライマックスで明らかになった各自の秘められた心中の切なさと激しさはいっそう劇的で圧倒されました。

シリーズ第三作は、傭兵の友人が領主をつとめる湊と海が舞台です。第二作が静であれば、こちらはまさに動の魅力にあふれており、船上を舞台としたシーンなどは、まるでパイレーツオブカリビアンばりの迫力とおもしろさ!活劇シーンで傭兵はその本領を発揮して、まさに八面六臂の大活躍でありました。列強が台頭する前の時代、地中海沿岸に点在し、その航海術と交易によって独立をと繁栄を守った小規模都市国家を彷彿とさせるハレの街が実にイイ雰囲気です。二つ名を持つ領主、船乗りを夫に持ったが故に若くして寡婦となったその夫人。その息子の謎めいた年上の婚約者。湊の女である艶美な傭兵の情婦。船と海を愛する男たちと、彼らを愛する女達…。舞台も、キャラも、申し分ありません。かって、国も身分も名前さえ捨て、ただ一人の男として生きることを選んだ傭兵が、海を渡ってたどり着いた先がこの湊でした。旧知の人に囲まれて伸び伸びと過ごしているように見えて、それでも時折り、決別した過去の幻影が傭兵の胸に去来するのはこの湊のせいでしょうか。湊の向こうには海があり、その先には傭兵の故国があります。それを象徴するかのような、ラストの海の夜明けのシーンは、美麗で静謐でありながら、同時に読むものの胸をかき乱すような迫力と情感があり、圧巻でありました。今後の展開が本当に楽しみであります。

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